コドモ以上、オトナ未満。


あたしが怪訝な顔をすると、先生は今の言葉の意味をわかりやすく教えてくれた。


「つまり、奥さんの目が、自分の教え子を見てハートになったらどうしようと心配してるわけです、僕は」

「……ヤキモチ?」

「そう言われると恥ずかしいですが、平たく言えばそうですね。で、どうします? もちろん帰りは家までちゃんと送りますから、危険はありません」


……真咲が一緒じゃないなら、断る理由はない。

最近、ずっと自分でご飯を作っていたから正直ちょっと疲れてたし、たまにはお父さんにも外で済ませてもらうのもアリかも。

それに、恩田先生の奥さんって、ちょっと興味ある。

新婚ってわけでもなさそうなのに、高校生相手にヤキモチ妬くなんて、よっぽどキレイな人なのかな。


「……いいですよ。いつですか?」

「ありがとう。来週の木曜辺りはどうですか?」

「平気です」

「では、詳しいことはまたあとで」


職員室を出て、教室に戻る途中で、思う。

恥ずかしいとか言いながら、どこまでも自分に正直な恩田先生が、うらやましいなって。

ヤキモチ、なんて。

そんな気持ちが生まれた時点で、あたしはたぶん素直な気持ちで相手と向き合えなくなる。

あんな風にあっさりその気持ち認められるのは、大人だからなのかな。


もしもあたしが、先生くらい大人だったなら。

昨日のことから逃げずに、真咲の言い分を聞く余裕もあったのかな……


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