コドモ以上、オトナ未満。
……真咲。
どうしよう……話をするなら、チャンスなのかもしれない、けど。
「一人で、平気。……買うもの、そんな多くないし」
……どうしてあたしはこうなんだろう。
一緒に来てほしいのに、それが素直に言えなくて。
「……そっか。じゃ、気をつけろよ」
「うん……」
いつもと変わらない、優しい笑顔。
それを見たらきゅうっと胸が縮んで、教室の中に戻って行く真咲の後姿に、あたしは思わず声を掛ける。
「真咲」
「ん?」
だけど正面から向き合うと、途端に何を言ったらいいのかわからなくなるんだ。
しばらく言葉を探して、でも沈黙に耐えられなくて、あたしは首を横に振った。
「……ゴメン、なんでもない」
それだけ言うと逃げるように廊下を駆けて行き、学校を飛び出した。