コドモ以上、オトナ未満。
……あたしが生まれたとき、両親は喜んだのかな?
きっと、その時だけは、喜んだのかもしれない。
でも、今はあたしのこと、放っておいてるじゃない。
お母さんは出てっちゃうし、お父さんは、お金とモノだけ与えて、あとは無関心。
ほら……あたしが生まれたこと、全然、おめでたくないじゃん。
「……しょせん、子供と親は別々の人間なんだよ」
お昼休み、屋上の柵にもたれて、あたしは曇った灰色の空に向かってそう呟いた。
床であぐらをかき、購買のカレーパンをかじっていた真咲が、顔を上げてあたしを見る。
「俺もそう思う。……しかも、それなのに都合のいい時だけ利用される」
「利用……?」
手に着いたパンかすをパンパンと払った真咲が、立ち上がってあたしの隣に並ぶ。
「――俺にモデルの仕事、勧めてきたのは母親なんだけど。それって俺のためとかでもなんでもなくて、父さんに構ってもらえなくて寂しい母さんの、唯一の生きがいっつーのかな。
息子を立派にすることで、自分の満たされない部分、補ってる感じなんだよね」
……あ。なんか、それ、似てる。うちの、お父さんと。
そっか……あの人も、あたしを利用して、自分の心の平穏を保ってるのか。