コドモ以上、オトナ未満。


「じゃー、また明日」

「うん」


結局家の前まで送ってくれた真咲に軽く手を振って、背の高い後姿を見送っていると、その方向から一人の人物が歩いてきて、あたしは咄嗟に手を引っ込めた。


どうして今日に限ってこんな時間に帰って来るんだろう。

もしかして、真咲と一緒にいるとこも、見られてた……?

別に真咲は彼氏ってわけじゃないんだから、“友達だ”って言えば済む話なのかもしれないけど。

なんでか、お父さんにはあまり見られたくなかった……


「……おかえり。早いね」

「ああ、ただいま。今日は珍しく仕事が早く片付いたんだ。ところで……」


……来る。

あたしはお父さんに続いて玄関の扉をくぐりながら、覚悟を決める。


「さっきすれ違った男の子は、湖々の――――」

「――友達。同じクラスで、学祭の実行委員一緒にやらされてるから、たまたま一緒に帰って来ただけ」


だから、もうこれ以上は詮索しないで。

そう口に出す代わりに、足早に階段を上がろうとすると……



「そうか。……よかった」



お父さんがほっとしたように息をついてそう呟いたのが聞こえて、あたしは思わず振り返った。


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