コドモ以上、オトナ未満。


「なっ……」


一気に顔が熱くなった。

真咲ってば、何言ってるの? ていうか、あたしもなんで照れてんのよ!


「いやー、残念だったな心矢。今日はココちゃん俺のカノジョだから、手ぇ出すなよ?」

「……わかってる。でも、ひとことだけ言わして」


ぱたぱたと手をうちわみたいにして顔を冷ましていたあたしに、真咲が一歩近づいてくる。

そしてふわっと優しく微笑むと言った。



「今日のココ、超可愛い。自信持って、頑張れよ」



――ドキ。

……って、何これ。

褒められ慣れてないから、心臓から変な音したんだけど……



「……真咲に言われなくても」



顔、見れないし……

なんか苦しいから、早くどっか行ってくれないかな……?


「はは、頼もしーね。さすがココ。じゃあ、俺も自分の相手と打ち合わせしてくる」


ぽん、とあたしの頭に手を置くと、この場から離れた真咲。

その背中に、大森が「だから手ぇ出すなってば!」と怒りながら言っていた。


少し先で真咲が声を掛けた相手は、目がくりくりっと大きくて、睫毛が長くて、すごく可愛い印象のモデルさん。

仕草とか、表情のひとつひとつも見惚れちゃうようなしなやかな動きで、本物のモデルさんはやっぱりすごいと思った。


それに比べたら、あたしはやっぱ素人。

それが事実なんだから凹む必要なんてないのに、なぜだかすごく、敗北感を覚えた。


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