コドモ以上、オトナ未満。


……なんでだろ。

口に出してそのことを真咲に伝えると、締め付けられるように、胸が痛んだ。

今まで真咲には散々お世話になったのに、こんな突き放すみたいな雰囲気になっちゃったからかな。

それとも、真咲の瞳がかすかに揺れて、傷ついたように伏せられてしまったから?



「……そう、なんだ。へぇ。そんな急展開アリかよ」



……でもそれは一瞬だけ。

次に顔を上げた真咲は、もうへらっと笑ってそんなことを言ってたから、あたしは少しほっとした。


「恋愛にルールなんかねーだろ。あ、もし寂しいんならお前も彼女作れば?」

「ばーか、余計なお世話」


真咲は大森とそんな軽口を叩き合うと、何も言わずにあたしたちに背を向けた。

その一連の動作の中で、真咲は一度もあたしの方を見なかった。

……やめてよ、そんな、急に態度変えるの。


「……真咲!」


気が付いたらあたしはそう呼んでいて、彼のもとまで駆け寄っていた。

でも、何を話そうっていうんだろう。

必死で頭の中で言葉を探すのに、それをうまく組み立てられない。


< 54 / 211 >

この作品をシェア

pagetop