アイドルなんて、なりたくない<font color=
だが、実際の二人はしわくちゃばばあとは縁が無いようなので、あまり説得力はない。

二人の祖母の高笑いを、優衣は黙って聞いている。

(な、何だか二人のペースにハマってるような気が…)

諦めに似た気持ちで二人の様子を見ていた。

「では早速」

紫は、優衣の腕を掴み

「今日は、スポンサーに会いに行きましょう。土曜だし、学校休みだからよいでしょう」

もう、ノリノリだ。

かなりの大波に乗っている。

「え?え?でも…」

いきなりの事に優衣は、かなり動揺を隠せない。

紫は足を止めて

「何か用事があるの?」

そう問い掛ける。

優衣は、自分をよく落ち着かせてから

「学校の文化祭の準備が…私、生徒会長なので…」

言いながら、気が引けている。

相手が、紫だからだろう。

紫は、少し考えてから

「何時からかしら?」

そう聞くと

「昼からですが…」

優衣は答える。

すると、紫はニッコリ笑い

「それなら大丈夫ね。大お祖父様とお茶してランチ食べるだけだし」

一人で納得してから、再び優衣の腕を引きずりながら足を動かした。

「え?え?」

優衣は、なすがままに連行されて行った。
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