妄想女と浮気男
出会い
照りつける太陽の下、私はレースフリルをあしらった真っ黒な日傘を差して歩いていた。


自宅から数キロ離れた本屋に向かっている。所望の本が近所の本屋にはなかったのだ。


それにしても八月の日差しは強い。日傘では防ぎきれない。


溢れ出す汗が止まらない。


私は立ち止まると、ポシェットから花柄のハンカチを出した。


そして、額の汗を拭うと、国道沿いを再び歩きはじめた。


私は車の免許を持っていないが、今までそれが不便だと思った事はなかった。

私はあまり外出しないから。

仕事はしているが、自宅から仕事場である小さな工場までは、徒歩五分もかからない。


しかし、やはり車はあった方がいいかもしれないと初めて思う。


照りつける太陽は、容赦なく私の体力を奪っていく。


なんだか気持ちが悪い……。


身体が熱い……。


やっぱり近所の本屋で本を取り寄せてもらえばよかった。

人見知りな私は店員に声をかけられなかった……。


私は、ゆっくりだが、なんとか歩を進める。


しかし、ファミリーレストランの駐車場の前で、激しい目眩に襲われた。
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