冷徹執事様はCEO!?
「そういえば両親は家にいるのかしら?」

「其れがお二人は現在アムステルダムへ行かれています」

「は?オランダに?」

私は素っ頓狂な声をあげる。

「はい、旦那様がアムステルダムで新しく事業を立ち上げるとかで、暫くあちらで暮らすご予定です」

何それ、聞いてないんだけど…

これまた想定外の展開にショックを受けて黙りこんでいると「なんせ急なお話だったようで」

田中さんが気を使ってフォローしてくれた。

「轟さんもいないとなると、今この家に常駐しているのは田中さんだけなの?」

「はい、此方に葛城家の方々は誰も住んでいらっしゃらないので、使用人は私のみ、になりますが」

「じゃあ、今の執事はあなたなのね」

「執事…まあそういう事になるのでしょうか」

少し考え込む素ぶりを見せ、田中さんは無表情のまま答えた。

「…そう」

ベットの上で握り締めた拳をジッと見つめる。

私、ピンチ…。

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