冷徹執事様はCEO!?
「違います!お金をお返ししたいので」

「なんだ、つまらない」

お兄さんはフルフェイスのヘルメットを被った。

「餃子、美味しかったからそのお礼」

お兄さんはキーを回すと、バイクから唸り声のようなエンジン音が上がった。

「え、でも」

お兄さんはいらない、と言うように横に手をヒラヒラと振る。

「す、すみません!ご馳走さまです」私はぺこりと頭を下げた。

お兄さんはこっくり頷くとそのままバイクで走り去っていった。

カッコイイ…

私はうっとりとため息をつき、自分の自転車に乗る。

入学当初は車での送迎だったけど、寄り道が出来なくなるので最近はもっぱら自転車通学だ。

学校でも珍しいと言われるが、私はチャリ通を貫き通した。

1台15万円する電動自転車に乗ってる所がお嬢様としてのせめてものプライドだ。

でも、チャリ通にしてよかった。

あんな素敵な人に会えたんだもん。

軽快に電動式自転車のペダルを漕ぎ、家までの坂道を登る。

お金を返す、って言って、連絡先聞けばよかったかな。

でもその先どうすればいいのか、私にはわからない。

また勝負軒に行けば会えるかもしれない。餃子美味しいって言ってたし。
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