冷徹執事様はCEO!?
「貴方は今日何をする予定なの?」
私はパンケーキを切り分けながら尋ねる。

「庭の手入れと洗車です」

「車?運転手の川上さんは?」

川上さんは、私が当時家にいた時の運転手さんで、我が家にある車は全て彼が管理してくれていた。寡黙だけど優しい人だった。

「旦那様がいらっしゃらないので今は匠様の専属になっております」

兄である匠ちゃんは結婚し双子を授かって、現在東京都三鷹市の持ち家に住んでいる。

川上さんもそちらの方に移ったようだ。

「じゃあ、車を使う時は自分で運転しなきゃいけないって事?」

私は眉根を寄せる。実は免許を持っていない。

「私に言ってくだされば、運転します」

「本当に田中の他には誰もいなくなっちゃったんだ」

そりゃそうだよね。
葛城家の住人もいなくなってしまったのだから。
賑やかだった当時を思い出すと寂しくなり思わずため息が出る。

「通いの家政婦が2名ほどおりますが主に館の掃除をお願いしております。その他は出入りの植木屋くらいですね」

「じゃあ、炊事や洗濯などの家事も全部田中が?」

「はい、自分と燁子様しかいませんので」

「… 洗濯は自分でするわ」

これ以上、ド派手なランジェリーを見られる訳にはいかない。

「かしこまりました」

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