冷徹執事様はCEO!?
あの二人の誤解を解いてくる、と言って聞かない私を田中は無理矢理タクシーに押し込めた。

強制的に家まで連行される。

「今日は何を言っても冷やかされるだけです。お酒を飲んでいない時にきちんと説明して誤解を解きましょう」

「わかったよ…」

私は頭をガックリ下げて項垂れる。

「真巳はともかく、藤原さんにも誤解されたなんて恥ずかしいわ」

「今日あったばかりの他人にどう思われようが構わないじゃないですか。もう会うこともないだろうし」

「まあ、そうだけどさ、イケメンにそんな風に思われたら何か嫌じゃない」

「イケメン…ですか?藤原が?」

田中は意外そうに聞き返す。

「世間一般で見たらかなりの男前よー。ちょっと緊張しちゃったもの」

「燁子様に恥じらう気持ちがあったとは…」

田中は信じられない、といった表情を浮かべて首を横に振る。

「女はね、いくつになっても男前には弱いものよ」

私はふふんと笑う。

「どうなんでしょうかねえ」

田中は小さくため息を付く。

そんな話をしているうちにタクシーは館に到着する。

鉄格子の門扉をくぐると敷地内へと入っていき噴水広場まで来ると、入り口にパトカーと黒いセダンに白のワゴンがとまっているのが見える。

屋敷は煌々と灯りが灯っていた。
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