冷徹執事様はCEO!?
別れ際、玄関で一人づつハグして行く。

「航生はいつも過保護なくらい心配してくれてありがとう。大好きよ」

「アキ、また来るね」と言って、航生はにこりとキュートな笑みを浮かべる。

「晴子姉さんもありがとう。お義兄さんにも宜しく言っておいて」

「燁子も田中さんのこと頑張るのよ。若い子にはない大人の魅力で迫りなさい」

晴子姉さんが耳打ちする。すっかり田中が好き的な扱いだ。

いちいち否定するのは面倒だから、うん、とだけ言っておいた。

「匠ちゃんは頼りになるね。ありがとう」

最後に匠ちゃんをぎゅっと抱きしめた。

「何かあったらすぐに連絡しろ」

「うん」私はニッコリと笑って頷いた。

「田中さんも燁子の事宜しくお願いします」

「はい、匠さま」

騒がしい兄妹達が帰ると館は静けさを取り戻す。

ホッとすると同時に少しだけ寂しいような気もする。
< 88 / 277 >

この作品をシェア

pagetop