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私にはミオという友達がいた。


誰にでも優しくていつも笑っていて、頭もよくて可愛い子。


そのくせ偉そうに威張っている様子もなくて、というかむしろかなりの天然という部分もあり、誰からも好かれる存在。


ぱっちりとした二重も形の整った鼻も、彼女のチャームポイントの一つだった。真っ黒でサラサラとしたストレートヘアも彼女だからこそ特別綺麗に見えたような気がする。


特に目立つような特徴のない私と一緒にいるところを見かけた人のほとんどは、どうしてミオがあんな地味そうな感じの子なんかと行動するのだろうと疑問を抱いたはずだ。


しかしミオは気にしなかった。というより、


「シイナがどんな性格だろうと、シイナはあたしの友達だから」


そう言ってくれたのだ。


あの言葉を、私は決して忘れなかった。


そんなミオとは小学生の頃からずっと一緒で、中学校を卒業した後も私たちは同じ高校へ進んだ。それくらい、私とミオは仲が良かった。


でもそれはもう、『当時は』という言葉でしか表現することはできない。
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