恋日和〜春〜





「練習中でしょう?大丈夫っ」
「休憩中。……だから平気」
いいのかな?と思うけど、涼はもう歩き始めていた。
先を行く涼を追いかけ、後ろ姿に釘付けになる。

……やっぱりかっこいい。
後ろ姿までかっこいいなんて、ずるい。


「……音? 」
「なに?」
「何でそんな後ろ歩いてるの? 」
「え……あ、なんでだろう……」
まさか、後ろ姿に見惚れてた、なんて口が裂けても言えない……

「音……さっきからどうした?」
そう訊かれるのは、私が下を向いていたり、挙動不振だからだろう。
……どうしよう。


「ごめん、やっぱり1人で行くっ」
私はそう残し、走って涼の元を離れた。

ごめんなさい……ドキドキしすぎて心臓なくなっちゃいそう……





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