届かなくても、

嘘つき天邪鬼

唖然とした顔の私を見て彼は微笑む。



初めて見た笑顔だった。




「ごめんな。」




彼は私の目を見て謝った。



身動きがとれない。



それに皆が見ている。



それにも関わらず、



彼は恥じらいもなくこんなことをしている。





どうして?





私を起こした彼はそのまま麗亜の方へと向かった。




後ろから見ていても分かる。



さっきとは全く違う冷たい殺気を



彼は纏っている。




寒気がした。



周囲の野次馬たちはそれを呆然と見守っている。



彼は麗亜に向かって行った。




顔は見えないけど麗亜の表情で分かる。





彼は今、とても怒っている。
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