届かなくても、

修復可能測定器

お見舞い程度に渡された人間失格。



正直言って、この選択はどうかと思う。




病人に『人間失格』なんてタイトルの本を渡したら




むっとすることぐらい、分からないのだろうか。






なんだか人権を否定されているような気分になる。





もういいや。





全部思春期のせいにしてしまおう。





もう時計は深夜を回り始めていたけど




全然眠気がなかった。






いつも寝る時に抱いているクマがなく、





仕方ないのでごりごりして固い枕を抱く。






明日は体が痛くなりそうだ。





ベッドも枕も、ついでに頭も




固くなってる。






考えづらい、とても。





簡単には消えてくれそうにない




心の靄と心臓の音。




心臓はずっと前から何もしていなくても




どくん、どくんと鳴っていた。





鳴っていなかったら死んでいる訳だけど。





心臓がときたま鈍い痛みを覚える。





素人の私でも一目瞭然。





これは心の問題だ。





頭の奥に入っている倉庫に詰め込んでいたものが




少しずつ漏れ始めているような気がする。






死にたいな…
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