俺様社長に捕らわれて
「美優、暴れるな。もう少しだけ、こうしていたい。車に入ったら、抱きしめることなんて出来ないんだからな」
「……何か良いことでもあったんですか?」
「ん?…あぁ、難航していた案件が今日纏まったんだ」
「そうなんですね。おめでとうございます」
「あぁ」
「洋輔さんが表情を崩して笑っているなんて、よっぽど嬉しかったんですね」
「……そんなに違うか?」
美優の言葉に、洋輔は首を傾げた。
「初めて洋輔さんと会った時は、表情もあまり変わらないし、そして何よりちょっと怖かったです。けど、少しずつ洋輔さんと関わっていく中で、僅かに口角が上がったり、眉間に皺を寄せていたりしている姿を見て、あぁ、表情が変わらないわけじゃないんだ…って気付いてからは、洋輔さんの表情をよく観察していました。なので、今、表情を崩して笑っている洋輔さんはとても珍しいんです」
そう言った美優の表情は自信に満ち溢れていた。