俺様社長に捕らわれて





「それより、美優さんは何か良いことでもあったんですか?出掛ける前よりも何だかスッキリした表情をされてますが…」

「!!」








美優は田中の言葉に驚きを隠せないでいた。
確かに、田中の言うように、先程の洋輔との会話で美優自身、目標への思いを口にしたことで、現実を帯びて来たことに喜んでいた。



しかし、会社に入る前に、これではいけないと、顔を引き締めたのであったが、まさかそれを田中に気付かれるとは思いもよらなかった美優。
何と返事をしようか、迷っていたのであった。









「嬉しいことがあったんです。だけど、会社に入る前に気持ちを切り替えられたと思っていたんですが、田中さんにバレてしまうだなんて…。秘書としてダメですね」

「そんなことないですよ。私は長年、社長にお使いしていて、お嬢様のことを見てきました。ですから、ほんの僅かな変化にも気付けるんです。これがきっと他の社員だったら気付いていないような変化なので、大丈夫ですよ」

「なるほど…。ということは、私は田中さんに隠し事が出来ないっていうことですね」

「おや?何か隠し事をされるおつもりだったんですか?」

「えぇっ?!ち、違いますよ!例えばの話で、隠し事なんてするつもりはありまそん」

「そうですか」

「はい」

「ではその言葉を信じましょう」








そう言った田中の表情は、先程よりも、表情が柔らかくなっており、美優もホッと一安心していたのであった。




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