運命ひとひら

剣の舞姫~side Yuto Takeuchi~




ーーーside Yuto Takeuchi




俺は、テレビで剣道の皇后杯をみていた。


今から決勝がはじまる。


決勝には、懐かしい人が出ていた。




ーーー長田 香苗。


彼女は、十歳と少し離れていて、最初は妹みたいな感じだった。



でも、時が経つにつれて次第に妹なんて思えなくなっていった。




ーーー『えー、主審の合図で両者気迫のある気合をかけました。』



決勝がはじまった。



ーーー『本年度の剣道、皇后杯、決勝は非常に面白い組み合わせとなりました。

赤、三年連続本大会優勝の大阪県警、川添瑠璃子選手、38歳。
白、本大会優勝初出場、舞を舞うようにしなやかに剣を降ることから、"剣の舞姫"という異名をもつ、神奈川県代表、星ヶ丘高等学校、長田香苗選手18歳です。

なんと、両者の歳の差は、20歳です!!』




「…剣の舞姫、か…。」


竹内は自宅のリビングでお茶をすすり、テレビを見ながら小さくつぶやいた。


そのつぶやきは竹内以外に聞こえているはずがない。



昔はいつでも手の届く、少女だった、長田香苗がいまでは、手の届かない遠い人になってしまった気がした。



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