運命ひとひら




試合後、長田の優勝インタビューが放映された。




ーーー『放送席、放送席。そして、日本武道館の皆様、テレビの前の視聴者様。

今年度の、本大会女王の"剣の舞姫"こと、長田香苗選手、三段の優勝インタビューです。』


その言葉で、日本武道館中が沸いた。



ーーー『長田選手、おめでとうこざいます。』


インタビュアーがそういうと長田は笑顔で「ありがとうございます」と答えた。



ーーー『優勝を一番最初に伝えたい人は誰ですか?』



ーーー『中学生のころ上手く打てなくて毎日泣きながら竹刀を振っていた頃がありました。

その時は本当に剣道がいやで辞めようか本気で悩んでいました。


でも、その時に、ある一人の道場の先生が、相談に乗ってくださったり、謂わず笑ってしまうような楽しい稽古をつけてくださいました。

きっと、今も剣道を続けていられてこのような素晴らしい賞を取ることができたのは、その先生のおかげなので、もう会うことはきっとできないと思うのですが、いつか会えたなら、優勝を報告させていただくとともに、



“ありがとう”って言いたいです。』



長田はこんなことを言っていた。


きっと俺のことだろう。



そう思った。



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