義兄(あに)と悪魔と私
 
いつものように制服に着替え、家を出た。
しかし、行き先は学校ではない。

近所の公園のトイレに入って私服に着替える。公園で少しだけ時間を潰してから、繁華街へ向かうバスに乗った。
終電で降りて、あの日比呂くんと行ったホテルの向かいのカフェで時を待つ。

私には、母はまだ不倫相手と続いているという確信があった。
月曜を選んだのは、単にあの日も月曜だったから。
今日がハズレなら明日も待てばいい。明日も駄目なら明後日も。それだけの話。

どうせ今週末には夏休みに入るのだ。
比呂くんのように、プロに頼むお金はないけれど、時間だけは持て余している。

(……諦めるもんか)

ホテルがよく見える窓際の席をキープして、カフェオレを注文する。
そして店員に怪しまれないように、持参した文庫本を読んでおく。

最低でも、昼過ぎまでは粘るつもりだった。
 
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