【完】午前0時日付が変わっても
そんな声とともに自転車が近づいてくる音がして、見てみれば、
「大知先輩!」
「似てるなって思ったら本当に本人だった」
「先輩も今日お休みですか?」
「うん。電車のほうが早いけど運動がてらこれで。…隣いい?」
もちろん断る理由もなく少し横にずれ、先輩の座る場所を空けた。
「百瀬さん元気?」
「え…」
「見つけた時から、なんか視線が下ばっか向いてるから。どうした?」
優しい口調でそう聞く先輩。
「元気ですよ〜」と小さく笑いながら返して、口角をあげたままゆっくりと顔を正面に戻す。
先輩にはお世話になりっぱなしだ。
千景くんのこともいろいろ話せて、聞いてもらって。