昨日の友は今日の恋人!?~甘い視線で迫られて~
平日でもお互いの予定が合えば食事の約束をする日もあって、充足感は半端ない。

まぁ、デレていると言われても仕方ないか。

でも今夜の奏多は急ぎの仕事で残業らしい。それを嗅ぎ付け、すかさず『暇でしょ~』とラインを入れてきたのは桜のほうからだ。

「そっ。紫乃の幸せボケした顔でも拝んで、ご利益にあやかろうかなと思って」

「ご利益ってねぇ……。なんか神頼みしたいことでもあるの? 寺嶋さんとは順調なんでしょ?」

桜の彼である寺嶋さんは、奏多と桜が勤める建設会社の経理課の係長さんだ。

仕事中の厳しい眼差しと違い、普段は朗らかな人柄でみんなに慕われているとは、奏多の評価だ。だけど『三十路の社内恋愛はさすがにオープンにしづらいね』と桜が語っていたのを、不意に思い出した。

「知~らない」

「知らないってなに」

「……この間ねぇ、喧嘩したの。先週の土曜日に事務方でバーベキューしたんだけどね、若い女の子たちも結構来たもんだから、男どもが色めきだっちゃってプチ合コン状態で」

ああ、なんとなく想像できる。浮足立ってる男性陣と、前に会った奏多の後輩の子みたいな甘ったるい女の子たち。

「そのなかに社内恋愛で結婚した家族連れが何組か紛れていたから、どっかチグハグなバーベキューになっちゃって。なんだか疲れて、ついキレちゃった」

『総務課の三崎さん』として参加していた桜は気を使いまくって、そのストレスを彼にぶつけちゃったわけね。

「あーあ。どうして男って若い子に弱いんだろ」
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