遅咲きの恋は花屋にて。
「…高 校 生?」
「はいっ。ここは叔父と叔母が経営している花屋で、バイトとして働かせてもらってるんです。学生に見えませんでしたか?」
「あ、はい…えっと、22,23歳くらいかなって。」
「老けてるからよく言われるんですよー。あはは。」
いつものことだとでも言うように、お可笑しそうに笑う彼。しかし、春香は全然笑えなかった。当たり前だ。
初恋の相手が高校生だったのだから。
「あ、ところで今日はどうしたんですか?もしかしてあの花、やっぱり気に入って頂けませんでした?」
そう言って、シュンと落ち込む彼。この捨てられた子犬のような表情を見て、守ってあげたくなるようなこの感情。これは当然の原理だったらしい。
「…そんなんじゃなくてね、私花に詳しくないからさ。あの花の育て方、聞きたいなと思って。」
頭の中で散々練習したセリフ、緊張して噛んでしまうかと思っていたのにこんなにも容易く言えてしまうなんて。
「はい!もちろんです!」
彼の眩しい笑顔を見て胸が痛んだ。一段と輝いて見えたのは、単に若いからだったのか。