無敵な彼女



かすかに震える手で、そっと触れようとしたときだった。





「平気、だよ……」





姫乃がゆっくりと顔を上げる。


もうそこに、先ほどまでの恐怖の色はなかった。


彼女の口元が静かに綻ぶ。


「私は平気。だって……いつも凛がそばにいてくれるから」


儚くも、天使のようなその笑みに胸が痛くなる。


「姫乃……」





ごめんね、姫乃……


あなたは絶対に……私が守るから。









< 50 / 54 >

この作品をシェア

pagetop