ミステリー
作法の試験の結果が出たすぐ後。
奈央子ら、マナー教室を受けた子たちは
先生たち全てから
最低限のマナーブックも渡された。

お友達やお知り合いのお家に遊びに行った時
飲み物やおやつもっとくださいとか
相手に必要以上の要求や頼み事ばかり
してはいけない、
親しい仲だから尚更、
相手にだけ負担をかけない
自分だけ一方的になにかしてもらったりしない
相手にだけ頼み事をしない
感謝は忘れず言う
お友達やお知り合いに
おやつや食事をご馳走してもらったり
泊めてもらったり、
お世話なったりした時は、お礼も忘れない、
あと、当然、
人の身体や容姿、肌の色など
初めからのこと生まれ持ったものを、
バカにするのはいけない、
などと言うことが書いていた!


ふーん、あのだれにも優しい
桜庭ちゃんと穂坂ちゃんが
ひとに、絶交を申し込むなんてねー!
(奈央子は桜庭ちゃんと穂坂ちゃんと
一度ずつ、遊んだことある。)


加賀谷琴美さん、ひとのこと
嫌われ者グループとか
異常者人間グループっていうくらいだから
ご自分はひとへの礼儀もマナーも
必要最低限は備わってるのね、ておもったら
自分も礼儀知らずで無礼なのね!


奈央子は、
一瞬、加賀谷琴美に、
怒りたくなった!
自分だって礼儀知らずじゃないの!
自分だって常識不満足人間じゃないのよ!と
怒りたくもなった。

が、
あのマナー教室の先生なら
そういう醜い感情を、よくおもわないわよね、
醜い感情に支配され
心が醜くなったら
あのマナー教室の先生も喜ばないわよね。
加賀谷琴美の振り見て我がふりなおせば
いいんだわ
、と思った。

あの人と付き合う必要ないもの。

もちろん、あの人に変に思われる原因作ったあたしもそれはそれで責任あったけど、
マナーなら叩き込めたわ!


その日を境に
奈央子が知的で賢くてエレガントで上品になったので
クラスのみんなは驚いた。
へー、奈央子かわったなあ!と。


おまけに、奈央子のことを
あれが、あの異常な人間が
あの嫌われ者が、小田桐の友達なの?て
バカにした男子らが
(大森和樹くん、大塚龍平くん、
佐藤駿くんとイケメンな道枝峻くんの
ダブルシュン、
鳥潟紘一(こういち)くん、安保和幸くん)
奈央子にたいし、
俺ら、奈央子のこと誤解してて悪かったよ
奈央子、よいやつだよ!
俺らが100%悪かったよ
と謝った。


その様子を裁判所の裁判員と裁判官は
ニコニコと嬉しそうに、裁判所にて
観察していた。

「奈央子さんは変わった。」

「次は、加賀谷琴美さんを、
招待しようか。
親しくても、相手にだけ負担をかけない
その気遣いはなくてはならない!」



後日談。


道枝くん達から謝られ、道枝くん達ともそれなりにはそこそこは仲良くなった頃。

奈央子は帰り(この日の放課後
桜庭ちゃんと穂坂ちゃん、
柳平(やなぎひら)美寿々ちゃん
桜庭ちゃんと親しい管原ゆうとくん、
杉沢渉くん、後藤健太郎くん、
管原幸太くん、とあそんだ。)
八重ばあちゃんのことおもいだした。

八重ばあちゃんは、奈央子の祖父の妹で
奈央子の近所に住んでる。
近所の子供達に人気で
近所の子供達にも八重ばあちゃん、と呼ばれてる。

あたし、一年前、あの絶交して!て頼まれた直後かな
八重ばあちゃんが、遊びに来た時
八つ当たりみたいに酷い態度取っちゃった。
「元気がないようだけどお友達と何かあったかな?」
と、奈央子に対して八重ばあちゃんがきくと
「ほかのひとには、わからないわ!」
と、
奈央子は酷い言い方してしまった。
八重ばあちゃん悲しんでたよね、ごめんよ。
後から両親に、
あんな態度はいけないのよ
と言われた。
その後も八重ばあちゃんは時々来てくれたね。
でも謝れなかったね。
ごめんよ!
あと、あたしが小1なったころ
八重ばあちゃん年金そこまで多くないのにあたしに
500円から800円くれたことあったね。
あたしも、働いたら
八重ばあちゃんにおこづかい
あげるね!



奈央子は、八重ばあちゃんとばあちゃんの家族のすきな栗饅頭を、
激安スーパーで買い(お年玉の残りを
しょうべんこぞう型の貯金箱にいれててよかったわ。)
八重ばあちゃんの家のまえにつくと、
ベルを鳴らした。
「希村」という表札がかかってる。
八重ばあちゃんの本名は希村八重で、
旧姓は一関八重だったらしい。

八重ばあちゃんがでてきた。

「おや、奈央子ちゃん!久々だね
さ、おあがり」
八重ばあちゃんが大喜び。

奈央子は両目から大粒の涙こぼし
「あのね、八重ばあちゃん、
去年の二学期の初め頃、ごめんよ、
あんな酷い態度でごめんよ、

学校で、悲しいこと、苦しいことあった時に
ばあちゃんらに、

打ち明けてたらよかったのに、
あんな酷い態度でごめんよ
でもね今はね
ちょっとずつ
お友達や仲のいい子
増えてるんだよ、
あの去年の二学期初め頃とは
まったく、
ちがうよ!」

奈央子は泣いて
八重ばあちゃんにだきついた。

八重ばあちゃんは、
奈央子の頭をなでた。
奈央子は、
手遅れにならないうちに謝れてよかったと思った。
(のべたも、
おばあちゃんのこと
大好きだったもの。
あたしと同じ思いだったのかな。)

奈央子と八重ばあちゃんらは
「クレヨンしんちゃん」の再放送を見ながら
お茶と栗饅頭を食べた。

しんちゃんが、みさえさんひろしさんと
お歳暮買いに来た時、
みさえさんたちに
そのへんであそんでいなさい、といわれ、
しんちゃんが、
売り物のお歳暮ギフトの箱を並べ
ドミノのように倒してしまい
みさえさんひろしさんが
お店の人に注意されてしまう!

「ばあちゃん、しんちゃん大っ嫌い!
ああいう、いぐねわらしがうまれたら、
施設に送る」
と、嫌そうな顔をする。
「ああ、しんちゃんはね、
あれはね、
変なやつを描いたアニメだからね。
それに、いまのはさ、
その辺で遊んでいなさい、て言った
みさえさんとひろしさんも
よくなかったからね。」
と、奈央子。

奈央子はもっと早くに
八重ばあちゃんにも
本音を打ち明けてたら
良かったんだなあと思った!




そういえば、
あたしむかし、
自分の部屋に鍵が欲しいなと思ってたっけ!
だけど、
こないだ、
「世界一受けたい講義」(土曜の夜7時からで
名探偵カナンの次の時間帯に放送されてる)って番組で
自室に鍵をつけたら
何やってるかわからない人間になりかねない
とかいったなあ!!


あたしなぜ
たったひとりの場所へ
たった一人の孤独な場所
たった一人の孤独な世界に
とじこもろうとしてたの???
そりゃ
プライバシーが欲しくなるのは当たり前だし
一人になりたい時はそりゃ誰しもあるだろうが、
八重ばあちゃんにでも、
桜庭ちゃん穂坂ちゃんや
優しい友人らにでも
打ち明けたりたくさん会話やたくさん話をしたり
してたらよかったのに!!!


奈央子は八重ばあちゃんの家を出ると、
同じクラスの
斉藤さん、能登谷さんと出会った。

「やあ奈央子ちゃん、よければ明日遊ばない?」
と、二人に誘われた。
明日は職員会議で、
午前授業。

「うん!遊ぶね!ありがと!」
奈央子は
二人に微笑んでこたえた!



この日の夜
奈央子は
名探偵カナンの本を何冊か読んだあと
幸せな気持ちで眠りにつく。
八重ばあちゃんと
桜庭ちゃん穂坂ちゃんと
能登谷さん斉藤さんと遊ぶ夢見た!


実は、
あの時、
マナー教室に呼ばれて5日めの、ティータイムの時
中川晃子先生が、
昔祖母が亡くなった時
恩返しできなかった後悔を感じたの、
そう悲しげに打ち明けたからだ。
奈央子らにも
ご家族や
祖父母や親戚のひとや
友人にたいして
後から後悔しないよう
日頃から打ち明けたいことや話したいことは
打ち明けて話すようにしなさいと
そう言いたかったのかも!
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