ダイヤモンドの未来
「泉川さん、第3診察室へどうぞ。」


あっ、澤田先生の声だ。

ゆっくり立ち上がり、診察室へ向かう。

「失礼します。」

「おはよう。」

含んだような笑顔で声をかけてくれる。

「おはようございます。よろしくお願いします。」

椅子に座り、先生の顔を見ると、思わずほっとして、肩から力が抜けた。思っていたよりも、大学病院のアウェーの雰囲気に押されていたらしい。

「緊張してる?」

「はい、でも…」

先生に会えて、ほっとしたとは言えない。

「大丈夫です。」


「足の痛みはどう?」

「痛みはあります。」

「院内広いけど、歩けそう?車椅子にする?」

「大丈夫です。」

「無理だったら言ってね。」

「はい。」

「このあと、レントゲンを撮って、病棟へ上がって下さい。
オペは予定通り、明日で。
あとで、病室へ伺います。」

「はい。」

先生は笑顔で頷いてくれた。
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