ダイヤモンドの未来
そのとき、看護師の真美さんがそばを通った。

「澤田先生、やっと香江ちゃん捕まえてくれたんだ。」

「まだ、診察のOKはもらってないけどな。」

「先生に口説かれて落ちないなんて強者だね。」

「俺もまだまだ」

苦笑する先生。僕と言っていた、先生が俺に変わり、プライベートな雰囲気が流れた。

どこまでも穏やかだと思っていた先生の意外な雰囲気。


真美さんが、私の方を向く。

「ちゃんと診てもらいなね。
医事課に香江ちゃんが時間外で整形受診すること言っとくからね。」

と言って、足早に去っていった。

医事課に診察の事実を伝えられると、受診→会計という流れが確定される。


真美さんは、同じ高校の2つ上の先輩で、部活が一緒だった。

私が事故にあったときは、もう看護学生だったけれど、地元がいっしょだから事故のことは知っていたらしい。

看護師と薬剤師を目指してそれぞれ違う道を歩み、接点はなかった。

が、偶然同じ病院に就職。

私が新人の時、病棟で真美さんを見て驚いた。

それ以来、時折ご飯に誘ってくれる。

明るく、強気で引っ張ってくれるお姉さんのような存在。

今回の足も随分心配された。

もう逃げられない…。

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