恋は盲目 Ⅲ 〜密やかな愛〜

平静を装い美鈴の手を掴む。


「どうしたんだ?気持ち悪いのか?」


背中で首を振っている美鈴。


違うのか⁈


なら、どうしたんだ?


体から美鈴の腕を離して向き直ると昨日

のように美鈴から唇にキスをしてきた。


酔っているせいか、体温が熱く唇から伝

わる熱で俺の脳は溶けそうなぐらい、沸

騰している。


思考が回らない。


「大輔…好きなの。ずっとあなたが好き

。大輔じゃないとダメみたい。」


美鈴は何を言っているんだ⁇


お前の好きな男は浩輔だろう。


「浩輔の代わりに好きだと思っているだ

けだ」


「また、浩輔なの⁈浩輔さんは関係ない

じゃない」


なぜ関係ない。


「お前の好きな男は浩輔だろうが…」


苛立ち声をあげる。


「……どうして、そうなるの?」


「ずっと、浩輔と俺を重ねていただろう

。気づかないと思ってたのか」


「大輔は…わかってない。気づいてない

のは大輔でしょう」


はぁ、何を言ってる。


「なんのことだ?」


「最初から私の好きな人は大輔なの。浩

輔さんじゃない」


暗がりに目が慣れ、美鈴の強い視線がわ

かる。


本当なのか⁈


なら、一体どういうことなんだ。


理解できない俺は、その場に崩れ座り込

んだ。


「それじゃあ、浩輔を見つめていたのは

なぜだ?」


美鈴はしゃがみ俺と視線を合わせる。


「いつのことを言ってるのかわからない

けど、お店で大輔を見れなくて浩輔さん

を大輔の代わりに見ていたわ。お姉ちゃ

んは、恥ずかしがる私を笑っていたけど

、浩輔さんは理解してくれたから」


美鈴が見ていたのは俺だと言ってるのか⁈


「なら、浩輔と喋っている時に赤くなっ

てたり、2人を刹那そうに見ていたのは

なぜなんだ?」


呆れてる美鈴はため息は吐く。


「もう、なにその誤解。赤くなってたの

はたぶんその時に大輔のことで浩輔さん

にからかわれてたからよ。それに、2人

を刹那そうに見ていないから…その時は

たぶん、うらやましかったのよ。私も大

輔とこんなふうになれたらいいのにって

…」


すべて俺の誤解だったのか⁈


「それなら、なぜ誤解を解こうとしなか

ったんだ?」


「大輔に思いが伝わったと喜んでいたの

に、あんなふうに突き放すんだから…言

えるわけないじゃない。だから、嫌われ

てるなら一度でもいいから思い出が欲し

くて抱かれたのよ」
< 26 / 58 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop