女神の落としモノ
「イオン~、シドにやられた!」
私の手を引いているイオンに泣きつくと、イオンはニコッと笑顔を向けてくれる。
「ハハッ、まったく、怒りっぽい男ってやだよねー?」
「ねー!」
二人でチラッとシドを見ると、さらにシドの眉間に皺が寄った。
「てめぇら、ブッ飛ばすからそこで待ってろ」
シドの背中に鬼が見えた………気がした。
私は咄嗟にイオンの背中に隠れる。
こっわー!!
目が本気だよ、あの人!!!
「大丈夫♪るなは俺が守るからね?」
「あ、ありがとう!」
軽いノリのイオンも問題だが、今は頼らせて頂きます!
命がかかってるんで!!
「おい」
「ひぃっ!」
シドの目線がギロリと私の方を向く。
えっ!?
な、何!?やっぱり弱い奴から倒そう作戦!?
ビクビクしていると、シドは小さく何かを呟いた。
「は……い?」
い、今なんと???
「だから!こんな暑いのに、そんなくっついて馬鹿じゃねぇーのかって言ってんだよ!!」
「そんなくっついてって……………」
何が、何と???
シドの視線は明らかに私を見ている。
だとしたら……………
私と、イオンの距離の事!?
え、そういう事!?
「はっはーん、そゆこと♪」
イオンは何かを感じ取ったのか、面白げに私とシドを見る。
は?どゆこと!?