Sugar&Milk

「朝の9時に見てたよ。時間的に部屋に先輩泊まったでしょ」

「あ……」

元カノは顔が赤くなる。

「俺が行くって知ってたのに、バレないと思った? 早めに行くって連絡もしたのに」

当時のLINEは既読になった。俺が行くから早めに先輩を部屋から出したのだろう。

「それがショックで距離置いた」

「だからか。いきなり連絡がなくなったのは」

「あれ見ちゃったら、顔も見れなくなって声も聞けないって思った」

「そう……だよね。私どうして避けられてるのか分かんなかったんだけど、見られてたのなら納得」

「関係を断ってごめん。話し合わなくて反省してる。でもそうしちゃった理由も今更だけど分かってほしくて」

「ごめんなさい……」

やっと謝罪の言葉を聞いた。俺の勘違いでもなく浮気が確定する。

「俺、何か傷つけたかな?」

元カノは答えにくいのか唇を噛んだ。

「浮気した理由、教えてほしい。俺あの先輩と仲良かったし」

「…………」

「もう今更怒んないから。俺も新しい彼女いるんだ」

「そうなんだ……」

「でもずっと引っ掛かってた。俺のこと嫌いになったから浮気したの?」

「そうじゃない。私が悪いの……」

なかなか話そうとしない元カノに「ゆっくりでいいから」と声をかける。

「私、瑛太くんのこと好きだった。でも不安だった」

「不安?」

「私から好きだって言って付き合ってくれたけど、本当に私のこと好きなのか不安だった。瑛太くんあの時あんまり気持ちを言ってくれなかったから。私に気を遣って付き合ってくれてたのかと思った」

そうじゃないよと首を振る。

「俺は君のことちゃんと好きだったよ。でもそれを言葉にするのが照れくさかった……」

「そっか……」

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