Sugar&Milk
「えっと……あの……」
「橘さんより後に産まれちゃったのは仕方がないです。学生でいることは譲れません。それでも好きです!」
真っ直ぐすぎる気持ちをぶつけられて驚いたのと同時に嬉しさがこみ上げる。
「私と付き合っても面白くないかもしれない……」
「俺だって子供っぽいって思われないか不安です。でも付き合いたいです!」
「だって君は私のことなんて表面しか知らないじゃない」
この言葉に一瞬困った顔をした中山くんは「すみません、戸惑わせて……」と呟く。
「見た目……なんです最初は。俺は橘さんに一目惚れです。でも、今はもっと知りたい」
恥ずかしくて目を合わせられない私を中山くんは変わらず真剣に見つめてくる。
「今日短い時間一緒にいただけでも楽しかったです。学生と会社員でも、何も壁なんて感じなかった」
どんなにかわしても中山くんは諦めない。それが困る。困るけれども、一方的に作っていた壁に穴を開けられるような感覚になった。
「私でいいのかな?」
「いいんです!」
「嬉しい。ありがとう……」
「じゃあ付き合ってくれますか?」
私、本当にこんな素敵な男の子と付き合ってもいいのかな? 中山くんの気持ちに自信持っていい? 年下と付き合うのは初めてだから、どうしたらいいのか分からない。でも、その『分からない』をこの子と一緒に考えていくのもいいかもしれない。
「まだ中山くんのことをほとんど知らないから、ゆっくりでもいいかな?」
「はい! お願いします!」
何をゆっくり、とは言わなかったのに中山くんには伝わったようだ。
「じゃあその……付き合うってことで……お願いします……」