あなただけを見つめてる。



「なになに?“次はいつ会えるの?朝陽に会いたいよぉ”だってよ。やっぱ桜子ちゃんからじゃねーかよ。つーか、桜子ちゃんは会いたがってんのに、なんで会ってやんねーんだよ?」


「…………」


「今日なんかせっかく部活もないんだから、フツーなら俺のとこじゃなくて桜子ちゃんのとこ行くだろ。今からでも会いに行ってあげたほうがいーんじゃねーの?」


「……桜子とは、少し距離を置きたいと思ってる」


「はっ!?なんでだよっ!?まさか、マジでおまえ、葉月さんのこと……」


「最近、自分でも自分のことがよくわかんねぇーんだよ……」



桜子のことより、葉月のことを気にかけてる俺がいて。


けど、この気持ちが恋愛感情なのかもわかんねぇ……。


単純に、人間の心理ってやつで、避けられるから気になるだけなのかもしれないし。


「それなのに、こんな気持ちで桜子に会えねぇよ」



この気持ちがなんなのかハッキリするまで、それまで桜子には会えない……。

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