あなただけを見つめてる。


だけど、意味がわかんないって顔をしてる葉月。



「あれ?ハズレ?てっきり他の男が寄り付かないように彼氏からこれしとけって言われてんのかと思った」



彼女がこんなに可愛かったら心配すんのも無理ねぇし。



「……違います。それに、彼氏なんていないし……」



そう言うと、葉月は俺の手からダテメガネを奪うとすぐにそれをかけた。


ふーん。いないんだ。彼氏。

だとすると、ますますわかんねぇ。

男除けでしてるわけじゃないとしたら、他の理由って何がある?



「……こ、これはっ。そう、ファッション!ファッションのひとつです!」


「……ファッションねぇ」



絶対ウソだろ。



「じゃあさ、この長めの前髪もファッションのひとつなの?」

「も、もちろんっ!」

「なら、俺からアドバイス。もっとこんな風に前髪を短くした方が可愛いよ」



俺は葉月の前髪に触れ、上にあげた。

その瞬間、葉月の身体がビクッと動いた。



「……や、やめてくださいっ」



俺の手をパシッとはねのける葉月。





──キーンコーンカーンコーン。





「じゃ、じゃあ、私はお先に失礼しますっ!」

「ちょっ、葉月っ!?」



葉月はここぞとばかりに俺から逃げて行った。



「…………」




葉月がしてることは、どう見たって可愛い顔を隠そうとしてるようにしか思えない。

だけど、なんのためにそんなことを──?



















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