相対ハート



絵文字すら使わない私が、ましてやハートだなんて、どこか気恥ずさを感じたからだ。


…使いたい。
…使えない。


相反する気持ちが、私のココロの中で葛藤を生み出していた。



資料室の前まで来ると、私は勢いよくドアノブを捻り身を滑り込ませ、力任せにドアを閉める。

…こんなの、ただの八つ当たりだ。
物に当たるだなんて、子供じゃあるまいし…と、渇いた笑いが漏れた。


手にしたファイルを元の位置に戻すと、
『ああ、やっと1日が終わった。』
と、両手で顔を覆いその場にしゃがみ込む。


【今日】という日が終わった。
彼の居ない【1日】が…。


この資料室で一人になって、【会社での私】と言うネジが何処かに弾け飛んだのだろうか…。


顔を覆い隠していた手の平には、生暖かい涙が流れ始めていた。


会いたい。

…会いたいよ。

…もっと、一緒にいたいの。

…私は、こんなにも貴方に



「…会いたい。」



自分で本音を吐き出すと、もっともっと会いたくなって、切なくなって…。

自分の発した言葉が、自身の胸を締め付けさせた。


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