幸福道
……助けて…。

クリーム色の髪を掻き乱した女の人が、凄い形相で近寄ってくる。


頬に何か異常を感じたと同時に、平手を食ったあたしは横に倒れた。


女の人はあたしの髪を引っ張って、あたし耳元で怒鳴る。

「あんたなんかいらないんだよ!」



生温かい涙が、あたしの頬を伝う。

痛みと悲しさが、あたしを泣かす。


それを見た女の人は更に怒り、あたしの頬を力いっぱいつねる。


痛い。怖い。悲しい。



誰か助けて……。


ピピピピ……。


目覚ましのベル音で目が覚める。


「……!」

同時に、夢を見ていた事に気付く。


目覚ましを止めて、制服を着る。

鏡を見ると、目に涙が溜まっていた。




「いってきます。」

早朝7時の冷たい風。

いつもより濁っているみたいだった。









シャッ……。

スケッチブックを開いても、あたしだけの世界が上手く描けない。



浮かぶのは、あの夢だけ。

あたしの世界は、単なる夢に乱されてしまった。

ガラッ……美術室のドアが開いた。
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