好きって言えよ
後少しというところで前のめりに転びそうになる
「おまえなにがしたいんだよ」
荷物が落ちるのもかまわずに修爾が私を抱きとめた
「待ってって言ったのに」
「なんだよ」
どんと私の背が壁に触れる
怒ってるような修爾の目
見あげる私を隠すように片手を壁につく
「ごめんね」
「はあ?ごめんなさいだろ」
こつんと片手でデコピンされる
「いったぁ」
「俺のほうが百倍痛かった」
「えっ」
「この鈍感つまり」
唇が優しく触れる
戸惑う私を後目に荷物を拾い集めた
「ズルい」
「なにが?最初に約束破ったの誰だ?」
それは···
「私だけど」
「だろ?帰ってきたら一緒に暮らすぞって言ったのに」
「いつ?」
「神社」
あの日、お祭りの音で聞こえなかった修爾の本音
私は嬉しくて後ろから抱きついた
「大好き」
「当たり前だろ」
fin
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