Third Time Lucky
「ありがとう。」

苦々しい顔のまま、葛西くんは片眉を上げることで何に対する言葉かと疑問符を投げてきた。

「クリスマス、楽しみにしてる。」

はにかみながら答えると葛西くんは目を大きく開いてからふわりと微笑んだ。

「壁ドンって使い方1つで随分な結果に終わるもんですね。イケメン限定だってこと忘れてた。」

1度目は苛々して2度目は怖くなって、いざ自分が体験したことを振り返ればなんだか笑えてくる。

「大丈夫、葛西くんはイケメンだから。」

葛西くん目当てで来店するお客さんもいたくらいだからそこは自信持ってもらいたい。

顔がついているだけで店の売り上げに貢献してくれるなんて店長としても非常にありがたいのよ。

「じゃあやっぱ使い方かな。このままだと悔しいんで…。」

そう言うなり葛西くんはまた距離を縮めて。

さっきまでとは違う気持ちで見つめていた私に微笑むと、今度は軽やかに距離をゼロにして視界さえも奪ってしまった。

唇に感じる体温が私を火照らしていく。

背中には壁、顔の傍には葛西くんの腕、鼻先がつく位の距離でかわす最初の言葉は私にくれる?

「これは…壁ドン確かにヤバイかも。」

相手が好きな人なら、の話だけどね。

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