きみと駆けるアイディールワールド―赤呪の章、セーブポイントから―
 アタシは防具を総入れ替えした。ビキニタイプの軽量メイルにシースルーの魔法衣、っていうコーデは変えてないけど。
 胸当てはワンショルダーのを選んだ。左肩が留まってて、右肩が開いてるの。デザインも気に入った。ピンクゴールドで、南国の花が凸彫されてて、さりげなくかわいい。
 魔法布のマントとスカートは、雪山対策の防寒仕様。火山の女神ペレのご利益付き。肝心のデザインは、メイルと同じくアシンメトリーな形。
 ニコルはすぐに気付いた。
「新しい防具にしたんだね! 似合ってるよ、お姫さま」
 うん。ちょっと大人っぽい感じになったでしょ? 髪型はツインテールのままだけど、これはアタシのトレードマークだし。
 でも、ラフはバカだから、アタシが装備を変えたことに気付かなかった。信じらんない。怒ってやった。そしたら、すなおに謝ってきた。
「すまん。これ、プレゼント。機嫌直してくれ」
 ラフがアタシのアイテムボックスに送信してくれたのは、ローズピンクのジュエル。空気に作用する魔法を帯びた宝石だ。装備すれば、寒気、熱風、毒ガスから身を守ってくれる。
「な、なんでアンタがこんなもの持ってんのよ? かなりレアでしょ、これ」
「サーフィンの最高ランクの景品。レア度高いし、お姫さまに似合いそうな色だと思ってさ」
「えっ?」
「時間的にギリギリだったからさ、焦ったよ。サーフィンのコマンド、案外ロングフレーズだろ? けっこう必死だったぜ。指、酷使して、手の甲と手首が痛ぇ」
 そう言った声は緊張してるみたいに揺れてるのに、ラフのCGはさわやかに笑ったままだから、ずるい。アンタのほんとの顔が見たい。どんな表情で、アタシにこれを送ってくれたの?
「……とりあえず、ありがと」
 アタシはその場でジュエルを髪に付けた。
「あ、似合う似合う!」
 すかさず誉めてくれるのはニコルで、ラフはちょっとの間、黙ってて、それからようやく、ポツリと。
「やっぱ、かわいいな」
「わ、わかってるし!」
 ナンパなくせに、ラフは、ほんとは照れ屋なんだ。アタシは胸がドキドキして、どうしようもない。
< 68 / 88 >

この作品をシェア

pagetop