女子力高めなはずなのに
スマホが光ったから手に取ると、槇村さんからのメールだった。

≪さっきのどういうこと?中野さん、井川課長と付き合ってるの?≫

あ!やっぱりそう思っちゃうよね。

≪違います。さっきはおかしなことになって、すみませんでした≫

いつも思うけど、槇村さんの返信ってものすごく早い。

すぐにスマホが光った。

≪今は井川課長と一緒じゃないの?これからでも迎えに行くよ。どこ?≫

えっ……?
どうしよう。

でも……、やめておこう。

槇村さんのお誘いは、もうお断りしよう。

だって私、井川さんのことが好きなんだってハッキリ自覚してしまったもの。

真面目なお誘いみたいだし、行くのは槇村さんに対して失礼だと思う。

≪せっかくのお誘いいただいたのですが、やっぱり槇村さんと一緒にお食事には行けません。本当にごめんなさい≫

≪どうしてもダメなの?井川課長に何か言われた?≫

≪何か言われたわけではありません。私の都合で、本当にごめんなさい≫

≪そう。残念だけど仕方ないね。わかったよ≫

本当に悪いことをしちゃったな。

こんなことになるなら、最初からお断るするべきだった。

いやいや!
最初はこんなつもりじゃなかった。

人気の槇村さんから誘われて、ただ単に舞い上がってただけだったのに。

まさかあのバケツをひっくり返した色白やせ眼鏡を好きになるなんて、夢にも思わなかったもん。
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