女子力高めなはずなのに
やっと週末の金曜日。
だからといって、特別なお約束があるわけでもない寂しい私。

帰り際、使った資料を戻すのを忘れていたことに気がついて、着替えてから倉庫に寄った。

背伸びをして箱の中に資料を戻す。

ふと、喫煙室から数人の話し声が聞こえてきた。

喫煙室の扉が少し開いていて、そこから声が聞こえてくるみたい。

この時間に残っているなんて、きっと営業さんだろうな。

経理も総務もみんな帰っちゃったもの。

そんなことを思って帰ろうとした瞬間「中野さんってさ」という台詞が聞こえてきたから、立ち止まった。

槇村さんの声?

「ちょっと話してみたらさ、意外と真面目なわけよ」

「えー、そおッスか?」

「槇さんが自分で『絶対落とせる』なんて言うからでしょう?」

「だから俺も、無理っぽいって言ったじゃないッスかー」

「俺もそう思ってましたよ」

何の話?
< 239 / 325 >

この作品をシェア

pagetop