女子力高めなはずなのに
彼女の兄貴は言いにくそうに顔をそむけた。

「本当はさくらを引き取った時、仲間ができるような集まりに参加させてやってもよかったんだけどよ……、俺が手元に独占したのは悪かったと思ってる」

「……」

集まりって何?

「さくらは優しい子なんだよ。だから、俺にも本当は遠慮してるんだ。遠慮するなってどんなに言っても、どこかで悪いと思ってセーブしてる。心から甘えるってことができないんだ。だからよ、……あの子を思う存分甘やかしてやってくれないか?」

それを聞いて目を細めた。

お兄さん、これ以上彼女を甘やかしたいんですか?……でも、言ってる意味はよく分かる。

中野さくらは甘えるのが苦手だ。
兄貴に対してどうなのかは分からないが、仕事では一人で全部抱えようとするし、俺に対しては、甘えたと思ったら急に離れたりするから気持ちの捉えどころがない。

それにこの兄貴は妹の甘やかし方を間違っている。

成長させずに自分の手元から離れないようにするのは本当の愛情とは違う。

この兄貴はそれを自覚して、自分が妹離れできないでいることが分かったんだろう。そして、手離すことも愛情だと分かっているんだろう。

だから俺に託すのか。

どこの馬の骨とも知れぬ赤の他人の男に託すなんて、妹を可愛がってきた兄貴としては断腸の思いだろうな……。

その思い、確かに受け取りましたよ。
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