絶対零度の鍵
「恐らく―」


静かな声に姿勢を戻すと、鍵師が僕を見つめていた。


「右京はお主に頼ろうなどとは思っていない」


余りのはっきりな言い様に、さすがに僕もがっかりして俯いた。


わかってるよ。


自分に何の力もないことなんて。


自分よりよっぽど彼女の方が強いことなんて。


彼女が僕を含め人間を毛嫌いしていることだって。


だけど、何も力になれないのか?



「ただ―」



鍵師の声に、まだ続きがあるのか?とその先に淡い希望を抱き、顔を上げる。


鍵師はそんな僕を面白そうに見ている。
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