絶対零度の鍵
「書士、さん…」
先程、翠の家を訊ねてきた書士が、炎の渦中に居た。
書庫には沢山の本が納められている。
それを管理するために、村には書士が居る。
そのため書庫には一組の机と椅子が用意されている。
書士はいつものその場所に腰掛け、目を瞑っていた。
「逃げないとっ!!早くっ!うっ、けほっげほっ」
煙を吸い込み、翠の肺が焼け付く。
それでも翠は奥の書士の元へと走り、腕を力の限りに引っ張った。
「早くっ!立って!書士さん!」