絶対零度の鍵
「そしたら僕も旅に出ようかな。」
陽はすっかり沈み、あちこちから虫の音が聴こえ出す。
「村に居ればいいじゃないか」
「でも、蓮貴がいなくなったら、つまらないし」
僕がそこまで言うと、蓮貴が急に立ち止まる。
「…星は、翠のこと、どう思う?」
「―は?」
つんのめりそうになった僕はなんとかブレーキをかけて留まる。
「あれの、器量は良い。」
振り向かない蓮貴の表情はわからない。
「どういう意味?」
僕は思わず眉間に皺を寄せて訊ねる。