絶対零度の鍵
「あのー、そろそろ行かれた方がよろしいんじゃないですかね…」




国境警備のもじゃもじゃしているおじさんが、そんな右京を見兼ねて声を掛ける。




「わかってるわよ。でもそんなに急かさなくたっていいじゃない。こっちにだって心の準備ってものがあるんだから」




腕組しつつ、右京はおじさんをジロリと睨んだ。




「…いや、でも…そろそろ外出禁止時刻になりますゆえ…こっちには近頃魔物が出るものですから」



警備のおじさんは心底心配そうに右京を見つめる。




「魔物?」




右京は腕組みを解いて、おじさんに訊き返した。
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