近しい華は高嶺に咲く美しき花
*~side DAICHI~
今日は荒れている。

それは空模様のことではない。
ましてや俺は男なので、肌荒れなんかも気にしない。

荒れているのは、俺、花村大地(ハナムラ ダイチ)とコンビで営業に回る先輩・福井まどか(フクイ マドカ)さんの気性のことだ。

『花村、今日はわかば堂書店の本店1階の文芸の平台コーナーを確保してきなさい!』

何の本を置くためなのか、期間はどれくらいかとか、全く何の具体的な話をしないでいきなりこんな言い方をする時は、大体昨夜イヤなことがあった時だ。

―彼に約束をドタキャンされたんだろう―

まだ今日は"文芸"というジャンルを言ってくれただけマシな方だ。

俺のいる出版社の龍成社・販売促進局は、うちの会社で作った本を書店に売り込む本当の意味での営業活動を行う部署。

局内ではさらに、営業一部から四部まであり、地域と書店チェーンがそれぞれ割り振られている。
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