近しい華は高嶺に咲く美しき花
花村は私を睨みつめた。
でも、不思議と怖さはない。
ただ、目の力は感じた。
目の前の花村との距離が・・・近い。
その力と雰囲気に圧倒された私は、隣に停めてあった1BOXカーに寄りかかった。

そしてその私の顔の右側から"ドン"という大きな音がした。

・・・花村が自分の左手を1BOXカーのボディに置いた音。

『どれだけ待ったと思っているんです?いい加減にしてくださいよ。目の前に、貴方と恋愛したいと思っている男がいるって言うのに』
「え?ど、どういうこと?」
『こういうことです』

そう言い終えた途端、花村の唇が私のそれに重なった。

花村の突飛な行動に、ただ固まる私。
そして花村はさらに、反対の手も私の顔の左側についた。
あまりの迫力に、突き放す術もない。

『俺にとって、貴方は最初からずっと、恋愛対象の女性です。彼氏がいると思って遠慮して、せっかく別れたと思って内心チャンスだと思っていたのに・・・田舎に帰るって?冗談じゃないです。先輩、お願いです。俺を男として見てください。俺なら、先輩が望む恋愛からの結婚をさせてあげられます。ですから・・・』
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