L'a maro e dolce amaro ~甘くて苦い恋の味 ~
「との事らしいよ。」

「ふーん。まっ、会議なら仕方ないか。藤咲残念だったな。愛しの愛しの文先生に教えて貰えなくて。」

最近昼休みは祥香の教室で食べている。食べ終わるとそのまま一緒に勉強するから楽なのだ。

「お前マジで1回黙れ。」

さっき先生に言われた事を伝えたのはいいが、その言われ様は無いわ…。

「てか、言いたい事って何?」

そう言うとお箸を持つ手が止まった。


「そうだった。…藤咲。落ち着いて聞けよ。」

神妙な顔つきになる祥香につられて自分も食べるのをやめる。

「なっ、何?」

この雰囲気からして、勉強関連で無いのは確実。

じゃあ一体…。

「実は文先生の事なんだ…。」

「文先生?」

妙な胸騒ぎがして、心臓の音が体内に響く。

「先生…。今年度で退職するぞ。」
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